研究組織



3Dプリンタを用いた建築技術の研究組織


WinSun(中国)

出典:http://www.4erevolution.com/

WinSunは中国の企業で、3Dプリンタの建築技術では世界で先駆的な存在があります。

その理由として、3Dプリンタで1日(24時間)で10軒の住宅を建設したり、3Dプリンタで5階建てのアパートを建築したり、住宅以外でもオフィスビルを建設したりと、数々のプロジェクトを成功させており、3Dプリンタの可能性を世界に提示し続けていることにあります。

作られた建築物が構造的に安全かどうかは定かではありませんが、技術力はトップクラスでしょう。


ドバイ

ドバイは、国の規模で3Dプリンタの建築技術の開発に乗り出しています。

3Dプリンタのミニマルなデザインがモダニズムを連想させます。

2030年にはドバイで建築される建物の4分の1を3Dプリンタによって建築するという目標を立てているほどで、本格的に取り組んでいることが伺えます。

3Dプリンタの技術はまだまだ国家のプロジェクトの規模ではドバイくらいしか見ませんが、これから競争が激しくなるかもしれません。


MIT(マサチューセッツ工科大学)

出典:http://iot-labo.jp/

MIT(マサチューセッツ工科大学)は、3Dプリンタの技術開発が盛んに行われており、建築用の3Dプリンタ技術もトップランナーの組織の一つです。

この3Dプリンタは「デジタル・コンストラクション・プラットフォーム(DCP)」という自動建設システムで、特徴としては、動力を送電された電力だけで無く太陽光発電システムによって得られる点です。

そのため、エネルギー供給が難しい避難所や被災地など、または、月や火星などの地球以外の場所で建設が可能だと言われています。

アームを動かすことによって直径約14m×高さ3.7mのドーム形状の建物を13.5時間で完成させることができます。


Delta WASP(イタリア)

出典:https://wired.jp/

高さ約12m、直径約6mの金属製フレームに支えられた出力する先端が稼働する仕組みで、主に粘土や泥を原料とした環境負荷が少ない建築をつくることができるといわれています。

資源が少なく、建築技術も普及していない場所で、住宅不足の問題を解決することができると期待されています。


建設業界注目の3Dプリンターニュース


3Dプリンターで住宅建設

2015年に中国の建設会社であるWinSun社が、3Dプリンターで作られた住宅を公開しました。昨年には、10戸の個人用住宅を24時間で3Dプリントするというか活動を行い、世界中で話題になりました。シンプルな一戸建てや、3階建ての住居で、1000平米以上の豪邸や、5階建てのアパートなど様々な種類があります。

グラスファイバーを用いていたり、リサイクルセメントを原料としていたりするということで強度も確保でき、なおかつ地球にも優しい素材です。壁面のパーツを組み立てて建築することで、建築に掛かる時間やコストを大幅に短縮できています。

参考[1]:THE BRIDGE(2015/01/22)


たった1日で家が完成?

2017年2月、ロシアの首都モスクワで、初めて「施工日数わずか1日」の3Dプリントでできた家が完成しました。3Dプリンターで部品や模型が作れるのは周知の事実ですが、たった1日(24時間)で、38m2と小さいとはいえ、家まで作れるようになりました。

その家は、ロシアの企業「アピスコア」が、「家を購入できない方々に安い家を提供したい」と開発した建築用3Dプリンターで作られています。38m2の1ルームで、建築費用はわずか115万円と、従来の家に比べたらかなり破格。

素材はコンクリートでできていますが、鉄筋が入っていないため、日本国内では耐震強度の面で、やや不安な面もあります。ですが、地元ロシアでは、一般住宅としてだけではなく、災害時の仮設住宅として利用できるのではないかと期待されているそうです。これだけ簡単に家を作れてしまうのであれば、将来的には月や火星に家を建てることも、夢ではないのかもしれませんね。

参考[2]:GIZMODO(2017/03/22)


世界初3Dプリンターの集合住宅

10オランダの南部に位置するアイントホーフェンでは、3Dプリンターで集合住宅を建設する取り組みが進められています。今までに世界で3Dプリンターの集合住宅を建設した記録はなく、世界初のプロジェクトです。

プロジェクトを支援しているのは、市議会からアイントホーフェン工科大学、複数の建設会社。それぞれの建設技術と3Dプリンターのスキルを持ち合わせて建設しており、最初の1棟は2019年9月までに完成する予定とのこと。責任者のひとりは「現在は似たような形・大きさの建築物をつくっているが、今後3~5年でバリエーション豊かな集合住宅が建つ予定だ」と言います。

人口が急増し住宅が足りなくなる中、集合住宅が3Dプリンターで作られるようになれば建設期間の短縮・人材不足の解消に繋がり、住む家がないという人を減らせるでしょう。

参考[3]:AFP BB NEWS(2018/07/12)


日本でも3Dプリンターを活用

日本建設会社が、2017年10月に建築物や土木構造の部材を3Dプリンターをプリンターで製作可能にしたと発表しました。

今まで日本の建設会社は3Dプリンターの利用方法は樹脂を模型を作る程度。3Dプリンターでは強度のある部品を製作するには時間がかかり過ぎるため、活用方法を模索していました。

建設会社は、材料を扱う会社と短時間で固まる独自のセメント材料を開発し、3Dプリンターに用いることで建設部材を製作できるようにしました。今後は3Dプリンターで扱える大きさを拡大し、製造可能な部材の種類をさらに増やそうと見込んでいます。3Dプリンターでさまざまな建設部材が作れるようになれば、工事の時間短縮が期待できます。

参考[4]:日本経済新聞(2017/10/11)