国土交通省 政策ベンチャー2030

タブー視されてきた 難題にチャレンジ!


・ 人口減少と正面から向き合う

 ① 「消耗戦による衰退」から「戦略的な撤退」へ

人口増加時代からのパラダイム・シフト。希望的観測によらない撤退戦略に基づき、都市機能の集約、インフラの選択と集中を推進。持続可能な“引き締まった”国土構造への転換により、日本全体でより賢く成長し、世界のモデルとなる豊かな社会を実現。

 ② 「国際観光による外国人との交流促進」から「定住外国人増加への備え」へ

外国から一時的に日本を訪れる旅行客のみならず、日本に語学留学等をする短期の滞在者や、職を得て日本に定住する外国人及びその子弟が激増。日本社会の多様性が高まり、地域活性化や国際競争力強化の人的基盤に。


・リスク社会を生き抜く

 ③ 「“絶対安全”信仰」から「脱“絶対安全”」へ

近年の災害等の経験により、「絶対安全」はなく、安全の不確実性を認知した日本人は、新たな技術の進展に伴って生じるリスクも含め、科学者/市民/政策決定者らがそれぞれの立場で、リスクの度合いを自ら判断・選択するように。


・技術革新を手段として社会構造を進化させる

 ④ 「デジタルな孤立」から「デジタルによる連帯」へ

これまで、ネット空間の発達により、生活が格段に便利になる 一方、リアルな社会への参加から隔絶された人々が存在。ロ ボットやAI技術が高度化し、逆説的に、人間同士のふれあい や自然との関係の重要性を社会として認識するように。

<あるべき姿の例>

モビリティ新時代の到来

・コスト・苦痛が伴う移動を避けてネット通販へ依存する傾向が高まる中、気軽に利用できる自動運転交通の発達により、 商店街で時間をかけて色々な人と会話しながら買物をする人々が増加。海では自動運航船が一般化し、空では「空飛ぶ タクシー」の社会実装に向けた知見が蓄積されるなど、陸海空のあらゆる領域で移動手段のイノベーションが進展。

ロボットとの共生

・仕事や家事労働等の一部をロボットに任せて、自由な外出時間が増加。車いすロボット、音声杖ロボット等により、高 齢者や障がい者の生活も充実。

VRなど新技術の活用

・VR(※)観光を入口とした新たな観光資源の発掘、内面的価値(共感、興奮、感動等)を求めるリアルな体験・コミュ ニケーションの活性化。(※) virtual reality : 仮想現実

 ⑤ 「(不完全な)見えざる手」から「技術による全体最適」へ

各主体のリアルタイムな行動調整や柔軟な価格設定が困難であること等から、市場機構 がポテンシャルを十分に発揮できていない分野が存在。スマートフォン、GPS、AI等の 技術により新たに切り開かれた可能性を生かすため、精緻なプライシングや中央制御によ る「プラン」を補完的に用いることにより、社会の「全体最適」を実現。

非常時の避難

津波などの大規模災害時に、自家用車で避難し ようとする被災者が殺到することにより渋滞が 発生。

自動車の乗合い、高齢者等の救助などによって 逃げ遅れゼロを目指す総合的な避難プランの確 実な遂行が望まれる。

大都市の交通システム

カナダ・トロント市は、アルファベット社(グー グル社の親会社)の子会社と提携して、先端技術 を活用した再開発に取り組んでいる。

交通量に応じて、歩道・車道・自転車道の配分を 変更し、道路に埋め込まれたLEDによって表示する システムを計画中。


・多様な個人の生き方を支え、社会に活かす

 ⑥ 「組織における肩書き」から「個人としての信用」へ ・行政を変える

個人の信用可視化を基盤として、個人の資源を、組織を経由せずとも他者に直接提供でき る社会に変容。その中で、国・自治体も、個人からその都度資源を調達できるように。

民間市場では個人の持つ資源のシェアリン グが浸透、利用者増。

今後、国・自治体等の公共でも、シェ アリングによるサービス提供が可能に。

 ⑦ 「後追いの政策」から「アジャイル開発する政策」へ

変化が早く、また、世界のどの国も経験したことのない 状況に、「誤りのないことを前提とする政策」が原理的 に存在しえないことが共通認識となり、失敗することを恐 れず、「素早く小さい誤りを重ね、学習し続ける(アジャ イル)政策」が指向されるように。

※アジャイル(俊敏な)開発とは、仕様や設計の変更が当然あるという前提に立ち、初めから厳密な仕様は決めず、おおよその仕様だけで
細かい反復開発を開始し、小単位での「実装→テスト実行」を繰り返し、徐々に開発を進めていく手法